竹田城

1. 城のデータ

[所在地] 兵庫県朝来市和田山町竹田  

[築城年] 1443年ごろ、1585年 

[築城者] 太田垣氏、赤松広秀

[遺 構] 石垣、堀切、竪堀

[別 称] 虎臥城  

[形 状] 山城  

[登城年] 2014年9月12日

(※トップ写真:竹田城・北千畳・三の丸石垣 )


2. 城の歴史

竹田城は1443年、播磨守護・赤松氏に備えるため、山名宗全の家臣である太田垣氏が築城したといわれる。やがて太田垣氏は山名氏からも独立した勢力を保ったという。1569年、織田信長が羽柴秀吉に但馬攻略を命じると、竹田城は陥落。その後秀吉の弟・羽柴秀長、次いで桑山重晴が城主となっている。

1585年、赤松広秀が播磨龍野から2万2000石で竹田城主となり、この間に今ある近世城郭に完成させた。広秀は関ヶ原の戦いで西軍に加担し、後に徳川方となったが、鳥取城攻めの責任により切腹させられ、竹田城は廃城となった。


3. 城の見どころ

竹田城は城山の形が虎が伏せたように見えることから、虎臥城という別称を持っている。山頂付近に堂々たる石垣群が続くため、「天空の城」、「日本のマチュピチュ」とも呼ばれる。近年雲海に浮かぶ竹田城を見に訪れる観光客が激増している。私自身、神戸に住んでいた学生時代に、豊岡出張の際この竹田城を訪れようとしたが、台風被害により城跡への道が通行止めとなってしまい登城できなかった過去がある。今回、神戸出張を利用して、10年ぶりに満を持して竹田城を訪れることができた。

城は丹波方面から西に抜ける山陰道と、播磨から北上する播但道を見下ろすことができる位置にある、標高354mの古城山に築かれている。この和田山の地は古来から重要視されてきた。城の縄張は城山の最高所である天守台と本丸を中心として、南方に南二の丸、南千畳を、北方には二の丸、三の丸、そして北千畳を置き、西方には花屋敷と呼ばれる石塀状の石塁で囲まれた曲輪が設けられている。北、西、南に派生する尾根上に曲輪群をうまく展開させているのがこの城の特徴だ。全山総石垣で固め、仕切りの石垣を多用し、複雑な縄張を形成していた。

まずは、城の大手口に向かって登城路を登っていくと、何重にも折り重なった石垣群が見えてくる。北千畳の大手口は実に厳重でL字状に折れ曲がった枡形空間に入る。ここを抜けると広大な北千畳の曲輪である。さらに、西方に向かって三の丸の虎口に突き当たる。ここもL字状に折れ曲がり、三の丸内に侵入することができる。

(下写真:三の丸虎口)

三の丸では、途中で仕切の食違い虎口があり、そこを抜けると二の丸にようやく至ることができる。二の丸から本丸・天守台方面、また、谷の向こう側の南二の丸、南千畳を眺望することができる。ここが竹田城のベストスポットの一つで、階段状に曲輪、石垣群が構成されていることがわかる場所で、眼下の盆地も見え、とても素晴らしい眺めである。

(下写真:二の丸から南千畳を眺める)

さらに進み、本丸、天守台方面に向かったが、遺構保存中のため、今回天守台には入ることができなかった。おそらく天守台からは全ての曲輪を眺望することができたはずだと思うので、非常に残念だった。また、本丸の西方にある花屋敷の曲輪も立入禁止で見学することができなかった。花屋敷の石塀には、石狭間の原型である鉄砲狭間があるということなのだが、残念ながら、遠くから遠望するしかなかった。

次に南二の丸、南千畳方面に向かった。途中で何度も何度も折れ曲がりを進んでいくことになる。南千畳については城内で最大の曲輪である。

(下写真:南二の丸櫓台)

南二の丸の東側から、本丸、二の丸方面を遠望することができる。ここも城内で屈指のベストスポットである。石垣群が累々と連なり、攻め寄せる敵に立ちはだかるかのような光景はまさしく難攻不落の城という印象を受けるだろう。

(下写真:本丸東側石垣群)

石垣を多用した山城に行くたびに思うが、よくこれだけの石材を調達して、山の上まで持ってきたものだと、ほとほと感心してしまう。最後の終着地である南千畳には二つの虎口があり、南側の虎口からもと来た登城路に戻ることができる。

(下写真:南千畳虎口)

城の主要部をほぼ見学することができたが、北千畳の西側にある登石垣(竪石垣)、城山の尾根に築かれた敵の横方向の移動を遮断する竪堀については確認することができなかった。そこまではさすがに整備されていなかったので、見ることはできなかったが、全体として良く整備されており、素晴らしかった。特に山城は草木が繁茂する夏場は葉や枝などで遺構が隠れてしまいがちであるが、城郭部に樹木は少なく、石垣の周りも草木が多く生えないようにしており、城ファンにとって感激の城であった。

城山の東側、円山川を挟んで向かい側の立雲峡と呼ばれる山から竹田城を正面に遠望することができる。山頂付近に築かれた石垣群を一望することができ、城ファン必見の場所である。

(下写真:立雲峡より城山を遠望)


4. 城のポイント

①山頂に累々と築かれた、圧倒的な総石垣で築かれた天空の城

②巧みに屈曲を繰り返して築かれた石垣 

③本丸、天守台を中心に三方の尾根に派生して築かれた縄張

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