江戸城

1. 城のデータ

[所在地] 東京都千代田区千代田

[築城年] 1456年、1606年、1622年、1637年

[築城者] 太田道灌、徳川家康、徳川秀忠、徳川家光

[遺 構] 各曲輪、天守台、水堀、石垣、門、橋など

[別 称] 千代田城

[形 状] 平城

[登城年] 2006年5月31日、2012年12月4日、2013年5月1日、2015年12月23日、2016年12月23日、2018年1月2日

(※トップ写真:江戸城・富士見櫓)


2. 城の歴史

江戸城の歴史は古く、江戸に初めて城を築いたのは扇谷上杉家の家臣・太田道灌だった。本格的な近世城郭となるのは徳川家康が関東に入った後のことである。道灌が築いた当時の城は天守も石垣もなく、中世の城郭であった。

江戸に幕府を開いてからは大々的に天下普請の名の下、諸大名に築城を担当させ、半世紀もの歳月をかけて日本最大の城郭が誕生することになる。徳川将軍家の威光をかけて三度日本最大級の天守があげられたが、火災により焼失してしまっている。以後は天守台のみで天守を再建されることはなかった。


3. 城の見どころ

江戸城は現在天皇陛下がおられる皇居となっているが、本丸、二の丸、三の丸の一部(現東御苑)、北の丸については見学する事ができる。何といっても城郭の規模の大きさには目を見張るものがある。現在の皇居周辺はあくまでもかつての江戸城の内郭であって、その外側に広大な外郭があった。東は隅田川と江戸湾、北は神田川沿いに御茶ノ水、水道橋、小石川と続き、西側から南側にかけては市ヶ谷、四谷、赤坂、新橋へと繋がるルートが本来の江戸城の外郭だったというから驚きだ。

江戸城を訪れるとまず何といっても、城門の巨大さに目を奪われる。徳川時代の江戸城は実戦を経験していないが、現在も建っている大手門、外桜田門、田安門は城の出入り口部分に厳重な桝形を構成し、完璧な防御力を誇っており、あらゆる敵の侵入を防いだことだろう。櫓門の大きさ、桝形部分の大きさは全国の城郭の中でも突出した規模を誇っている。

(下写真:大手門)

残念ながら江戸時代に三度築かれたと言われる天守は現存していない。ただし加賀前田藩に築かせたという、天守台の石垣は切込ハギの巨石を整然と積まれており、江戸城中最も立派なものである。この巨大な天守台の石垣を見るだけでも徳川将軍家・江戸幕府の威光を感じないではいられないだろう。

(下写真:天守台石垣)

江戸城内を廻ると百人番所、富士見櫓、桜田巽櫓、伏見櫓、富士見多聞櫓などがある。百人番所は江戸城内最大の検問所であった。なかなか貴重な遺構であり、一見に値する。

(下写真:百人番所)

(下写真:桜田巽櫓)

(下写真:富士見多聞櫓)

しかし富士見櫓や伏見櫓などは一般開放されていない場所にあるため、遠目でしか確認できないのが極めて残念である。


-再登城後の追記-

2012年12月4日、会社の研修会で、皇居一般参観に行く機会があり、江戸城に再訪することになった。今回事前許可制で、桔梗門から皇居の宮殿、宮内庁庁舎等のある西の丸を散策することができた。(普段皇居はかつて本丸、二の丸であった東御苑については一般に開放されているが、その他の皇居宮殿のある西の丸から吹上御苑については入ることが出来ない。)

皇居一般参観のスタート地点である桔梗門は、他の主要城門と同じく、前面に高麗門、奥に櫓門で構成される枡形虎口であり、厳重な防御となっている。江戸城にいつ来ても思うのだが、石垣は巨大、加工も最も整形して積まれた切込ハギが多く、城郭技術の最高水準の時代につくられたことがわかる。徳川将軍家の居城にして、天下の府城を築くために諸大名を動員してつくらせた天下普請でないと、ここまでは出来ないだろうと感じる。

何といっても一番の見どころは本丸石垣上にたつ富士見櫓である。富士見櫓は、本丸にあった天守が焼失した後は天守代用の櫓とされた由緒正しい三重櫓である。関東大震災で倒壊したが復元されたものという。出窓石落や、装飾化された破風など、幕府系城郭の典型的な特徴が見られる。どのアングルで見ても、全体的な均整が取れており、「八方正面の櫓」と呼ばれるだけはあると思う。本丸内からこの富士見櫓を見ることも出来るのだが、石垣下から見上げる方が実に迫力がある。

(下写真:富士見櫓)

その後、宮内庁庁舎、広大な宮殿を経て、伏見櫓を見学することが出来た。こちらも普段なら正門越しにはるか遠くに見るしかない櫓なのだが、今回は西の丸敷地内からこの伏見櫓を近くで見学した。伏見櫓は二重櫓で、左右に付く多聞櫓とともに現存遺構である。伏見城から移築したため、この名があるのだが、どうも事実ではないらしい。伏見櫓下の石垣は土塁の上に載っていて、その土塁の下は石垣となっている。下から見上げると石垣、土塁、石垣の順に積み上がっている。おそらくは元地形を活かして石垣積みは最小限に留めものと思われる。

(下写真:伏見櫓)


4. 城のポイント

①徳川将軍家の威風たなびく天下の城 ⇒江戸幕府の威光をかけて築かれた日本最高の城

②現存する櫓、城門、石垣、水堀 ⇒全ての施設が全国城郭の中で随一の大きさを誇る 

③本丸に残る天守台の石垣 ⇒隙間なく積まれた巨石は徳川将軍家の実力を示す







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